日本酒を選ぶとき、「純米」と「純米吟醸」で何が違うんだろう、と迷ったことはありませんか。ラベルの言葉はわかっても、実際に飲んでどう変わるのかは、なかなかピンとこないですよね。
それなら、同じ蔵の同じ銘柄で飲み比べてみるのが、いちばんわかりやすいはずです。そう思って手に取ったのが、鳥取・岩美町の高田酒造場が醸す「瑞泉(ずいせん)」の、純米酒と純米吟醸でした。
鳥取を旅したときに出会って以来、すっかり気に入っている蔵です。この記事では、その二本を並べて飲み比べた正直な感想と、鳥取のお酒がなぜこんなにおいしいのか、という話までを書いていきます。
先に結論|瑞泉の純米と純米吟醸、こう違う
先に、二本の違いをざっくり表にしておきます(私が実際に飲んだ実感ベースです)。
| 瑞泉 純米酒 | 瑞泉 純米吟醸 | |
|---|---|---|
| 使用米 | 五百万石・玉栄(精米55%) | 山田錦100%・扁平精米 |
| 香り | 米の香りが立つ | 米の香りが立つ(純米と同系統) |
| 味の印象 | 旨みがしっかり、どっしり | 旨みはありつつ、喉越し・後口が軽い |
| ひとことで | 満足感の純米 | 洗練の純米吟醸 |
| こんな日に | どっしり飲みたい日 | すっきり上品に飲みたい日 |
瑞泉ってどんなお酒?|鳥取県岩美町・高田酒造場
瑞泉を醸すのは、鳥取県の東の端、岩美町にある高田酒造場。日本海にほど近い、山陰のちいさな蔵です。山陰のお酒らしく、ドライで辛口寄りの味わいに定評がある蔵です。濃醇な辛口タイプなので、燗にしても旨みが出ると言われます。
今回飲み比べたのは、五百万石と玉栄で仕込んだ純米酒と、山田錦を100%使い「扁平精米」(米を平たく磨く手法)で仕込んだ純米吟醸の二本。同じ蔵の、グレード違いの飲み比べです。
「そもそも純米と純米吟醸って何が違うの?」という方は、純米・吟醸・大吟醸の違いとラベルの読み方を先に読むと、この飲み比べがもっと面白くなると思います。

純米と純米吟醸、並べて飲んでみた
まずは純米酒から。注いだ瞬間から米の香りがふわっと立って、口に含むと、米の旨みと香りが飲み始めにパッと来ます。それでいて口に重く残る濃さはなくて、さらっと飲める。ご飯と一緒にやりたくなる、食中酒向きの一本だと感じました。
続いて純米吟醸。おもしろいことに、香りは純米とよく似ていて、同じように米の香りが立ちます。一般に純米吟醸というと華やかな吟醸香を思い浮かべがちで、瑞泉にも香り高いタイプはあるようですが、私が飲んだこの一本(山田錦100%・扁平精米)は、その華やかさを前に出すより、米の香りの延長線上で上品にまとめた印象でした。でも飲んでみると、純米との違いははっきり出ます。旨みはちゃんとあるのに、喉越しと後口がすっと軽いんです。純米のどっしりに対して、こちらは一段“洗練された”飲み口、という感じでした。
どちらも、間違いなく「瑞泉の系統」の味です。ベースの表情は共通していて、そのうえに純米は満足感、純米吟醸は洗練、という違いが乗っている。同じ蔵で飲み比べると、グレードの差がこんなにきれいに出るのか、と正直おどろきました。
純米酒は山陰のお酒らしく燗でもおいしいと言われるので、次は温めても試してみたいところです(温度で変わる話は日本酒は温度で化けるにまとめています)。
どっちを選ぶ?|どっしりの純米か、洗練の純米吟醸か
迷ったときの目安を、正直な好みで書いておきます。
どっしりと飲みごたえを楽しみたい日は、純米酒。これでも十分すぎるほどおいしくて、満足感があります。いっぽう、より洗練された味や風味を味わいたい日は、純米吟醸。すっと軽い後口が上品で、特別な一杯にしたいときに向いていると思います。
値段は純米酒のほうが手に取りやすく、純米吟醸は少し上の価格帯です。まずは純米から入って、気に入ったら純米吟醸へ、という順番でも楽しめるのではないでしょうか。もちろん、二本そろえて自分で飲み比べるのが、いちばん腑に落ちます。
🛒 楽天市場で探す:瑞泉 純米酒
🛒 楽天市場で探す:瑞泉 純米吟醸
鳥取のお酒は、なぜこんなにおいしいのに名前を聞かない?
飲み比べていて、あらためて思ったことがあります。鳥取のお酒って、ベースのレベルがとても高い。瑞泉にかぎらず、鳥取で飲んだお酒は外れが少ない印象です。
理由は、たぶんシンプルなところにあるのだと思います。鳥取は大山(だいせん)をはじめ良質な水に恵まれた土地で、やわらかな軟水はきめ細かいお酒造りに向いていると言われます。酒米も、栽培が難しくて一度は途絶えながら復活した鳥取生まれの「強力(ごうりき)」があるなど、米への土壌がある。米と水という、お酒のいちばんの土台がそもそも良いから、仕上がりのレベルも自然と高くなる——そんな気がしています。(水で味が変わる話は関西の酒どころにも書きました。)
それなのに、と個人的に不思議に思うのが、全国であまり名前を聞かないこと。灘や伏見のような大きな産地にくらべると、鳥取は蔵の規模も生産量も控えめで、県外への流通や宣伝もそこまで大きくないのかもしれません。実力のわりに、名前が広がりきっていない——そんな印象を、勝手に抱いています。裏を返せば、知る人だけが得をしている、とも言えるのかも。鳥取のお酒、もっと飲まれてほしいなと思います。
瑞泉を取り寄せるなら
現地まで行かなくても、瑞泉は通販で手に入ります。純米と純米吟醸、まずは飲み比べで両方そろえてみるのも面白いと思います。同じ蔵のグレード違いを、一度に味わえます。
価格は、純米が720mlで2,000円前後、純米吟醸が3,000円前後が目安です(税込・変動あり。正確な金額や送料は商品ページでご確認ください)。
よくある質問
Q. 純米と純米吟醸、初心者はどっちから?
まずは手頃で飲みごたえのある純米酒がおすすめです。食事と一緒に楽しみやすく、瑞泉の味の土台がわかります。慣れてきたら、後口の軽い純米吟醸で“洗練”を味わってみてください。
Q. 瑞泉は辛口ですか?
山陰のお酒らしく、ドライで辛口寄りと言われます。ただ、私が飲んだかぎりでは「辛いだけ」ではなく、米の旨みがしっかり感じられました。
Q. 燗にしても大丈夫?
純米酒は、燗にすると旨みが出るタイプだと言われます。冷やして軽く、温めて旨みを引き出して、と二度楽しめます。温度の話は日本酒は温度で化けるへ。
Q. どんな肴に合いますか?
辛口ドライな瑞泉は、白身魚のお刺身や、同じ鳥取の岩牡蠣のような磯の幸と好相性だと思います。燗にすれば、干物や煮物にも寄り添ってくれます(鳥取の岩牡蠣は関西から行ける夏の岩牡蠣へ)。
Q. 贈り物にも向きますか?
有名銘柄と被らない“通好み”の一本として、むしろギフト向きだと思います。とくに純米吟醸は手土産にちょうどいい価格帯。化粧箱やのし対応の有無は、商品ページで確認してみてください。
まとめ
同じ蔵の純米と純米吟醸を飲み比べてみると、「グレードでどこが変わるのか」が、言葉ではなく舌でわかります。瑞泉なら、どっしり満足の純米か、後口の軽い洗練の純米吟醸か。どちらも紛れもなく瑞泉で、その日の気分で選べるのがぜいたくです。
鳥取のお酒は、米と水のおかげでベースがとても高いのに、まだ名前が広がりきっていない——そんな“隠れた実力派”だと思っています。次の一本に、鳥取を選んでみませんか。

コメント