春鹿「しろみき」を飲んでみた|“発泡する活性にごり酒”の開け方と楽しみ方

春鹿「しろみき」を飲んでみた|“発泡する活性にごり酒”の開け方と楽しみ方

にごり酒、と聞いて思い浮かべるのは、白川郷のような、とろりと白くて甘いお酒ではないでしょうか。私もそのクチで、にごり酒自体は何度か飲んだことがあります。

でも「発泡する活性にごり酒」となると、話は別でした。同じ“にごり”でも、シュワシュワと泡が立つタイプは、正直あまり記憶になかったんです。

そんな私が最近、リカーマウンテンの棚で見つけて興味を惹かれたのが、奈良・春鹿の「しろみき」でした。本来は冬に出る季節限定のお酒。それが季節外れの棚に普通に並んでいたので、つい手に取ってしまいました。この記事では、その「しろみき」を実際に飲んだ体験をもとに、活性にごり酒とは何か、どう開けてどう飲むのかを紹介します。

この記事でわかること
– 「活性にごり酒」が、普通のにごり酒と何が違うのか
– 春鹿「しろみき」がどんなお酒か
– 吹きこぼさずに開ける方法と、味が変わる3段階の飲み方
– 夏でも楽しめる、買える発泡にごり酒


目次

活性にごり酒とは|白川郷のようなにごりと何が違う?

まず、にごり酒と活性にごり酒の違いから整理します。

一般的なにごり酒は、もろみを粗い布などで漉して、米の旨みや甘みをあえて残したお酒です。白川郷のような、とろりと濃く甘いタイプを思い浮かべる方が多いと思います。多くは加熱処理(火入れ)をして、味を落ち着かせています。

一方の活性にごり酒は、火入れをせず、酵母が生きたまま瓶詰めされた「生酒」です。瓶の中でも発酵が続いていて、そのときに出る炭酸ガスが溶け込むため、開けるとシュワシュワと発泡します。同じ白く濁ったお酒でも、こちらは「泡」と「フレッシュさ」が主役。シャンパンのように瓶内で二次発酵させたタイプもあり、にごりというより“微発泡の生酒”に近い飲み心地です。

つまり、白川郷的な「甘くてとろり」が静のにごりなら、活性にごりは「シュワッと爽やか」な動のにごり。同じ棚に並んでいても、別物として選ぶのが正解です。


春鹿「しろみき」ってどんなお酒?

「しろみき」は、奈良の老舗・今西清兵衛商店が醸す「春鹿(はるしか)」の、純米吟醸 活性にごり生酒です。春鹿といえば超辛口で知られる蔵ですが、このしろみきはそのイメージとは少し違う、華やかで発泡感のある一本です。

春鹿「しろみき」純米吟醸 活性にごり生酒のボトル
奈良・今西清兵衛商店の春鹿「しろみき」。写真は飲みきりやすい300ml。

ラベルやメーカーの情報によると、発酵中のもろみを荒ごしして瓶詰めした、香り高い発泡性の活性にごり酒。アルコール分は15度、日本酒度はマイナス3。数字の上ではやや甘口に入りますが、実際に飲んだ印象は少し違いました(味の話は後ほど)。容量は720mlと300mlがあり、私が買ったのは飲みきりやすい300mlでした。

そして大事なのが季節です。しろみきは毎年12月中旬ごろから発売される、冬の季節限定酒。本来なら夏に出回るお酒ではありません。だからこそ、最近リカーマウンテンの棚で見つけたときは驚きました(買ったのはまだ春先のことです)。酒販店に在庫が残っていると、こうして季節外でも出会えることがあるようです。逆に言えば、通販などでは時期によって在庫が読めないお酒、ということでもあります。


吹きこぼさない開け方|活性にごりは「冷やして・少しずつ」

しろみきの首には、はっきりと「開栓時 吹きこぼれ注意」と書かれた札が下がっています。活性にごり酒は瓶の中で発酵が続いている分、開け方を間違えると中身が一気に吹き出してしまうからです。これは脅しではなく、本当に噴きます。

ラベルの案内に沿うと、開け方のコツはふたつです。

ひとつは、よく冷やすこと。飲む30分以上前から、冷蔵庫だけでなく氷水でしっかり冷やしておきます。温度が高いと炭酸が暴れやすいので、キンキンに冷えているほど落ち着いて開けられます。

もうひとつは、少しずつ開けること。栓を一気に回さず、ほんの少し緩めてはガスを逃がし、また少し緩める。これを何度か繰り返して、内圧をゆっくり抜いていきます。シンクの上や、こぼれてもいい場所で開けると安心です。

慣れたビールやシャンパンの感覚で勢いよく開けると、確実に泡が噴き出します。活性にごりは「冷やして、焦らず、少しずつ」が鉄則です。


3段階で味が変わる|しろみきの飲み方

しろみきの面白さは、開けたあとにもあります。ラベルでは、混ぜ方を変えることで“3つの味わい”を楽しむ飲み方がすすめられています。

しろみきの首掛け札に書かれた活性にごり生酒の飲み方説明
首掛け札の裏に、冷やし方・少しずつの開栓・上澄み/混ぜ/ロックの3段階の飲み方が書かれている。

最初は、混ぜる前の上澄みを少しだけ。澄んだ部分は、にごりのイメージよりも軽やかで、発泡のシュワっとした口当たりが際立ちます。

次に、瓶を静かに回して、上のクリーミーなにごり部分を合わせます。ここがいわゆる「活性にごりらしい」ところで、米のまろやかさと泡が一緒にやってきます。

最後に、底に沈んだ濃厚な部分。ここはあえてオン・ザ・ロックにして、濃さを氷でほどきながら飲むのがすすめられています。

ひと瓶で味の表情が移り変わっていくので、ちびちびと変化を追うのが楽しいお酒でした。私も上澄み・ゆっくり混ぜたところ・底の濃い部分、と順番に飲んでみました。

正直に言うと、いちばん意外だったのは「甘い」と思って飲んだら、わりと辛く感じたことです。日本酒度マイナス3の数字から勝手に甘口を想像していたのですが、上澄みはむしろ辛い。

そこからゆっくり混ぜていくと、マイルドな口当たりに変わっていきます。底の濃いところはぐっと濃厚で、口当たりもずっしり。発泡感は、ビールのように尖った刺激ではなく、舌にじんわり入ってくる細かな刺激という感じでした。

個人的にいちばん好みだったのは、ゆっくり混ぜてマイルドになった状態。辛さと濃さのあいだの、ちょうどいいバランスでした。同じ一本で辛さ・まろやかさ・濃さが層になっているのが面白く、さすが超辛口で知られる春鹿、甘いだけのにごりではありませんでした。なお、生きたお酒なので、開封後は早めに飲みきるのがおすすめです。


夏に楽しむ、買える発泡・にごり日本酒

しろみきは冬の限定酒で、夏に確実に手に入るとは限りません。「いま発泡にごりを飲んでみたい」という方向けに、通販でも見つけやすい発泡・にごり系の日本酒をいくつか挙げておきます。私が全部を飲み比べたわけではないので、産地や製法、評判をもとに紹介します。気になるものから試してみてください。

紀土 KID 純米大吟醸 Sparkling(和歌山)

和歌山・平和酒造の「紀土(KID)」のスパークリングです。山田錦を50%まで磨いた純米大吟醸を、たっぷりのおりとともに瓶詰めし、瓶内二次発酵させた“おりがらみ(薄にごり)”の発泡清酒。ロンドンのブラインド審査会「IWC2019」のスパークリング部門で最高賞トロフィーを受けた実力派として知られています。

実は私も飲んだことがあって、発泡にごり系ならではの独特な風味が記憶に残っています。思ったより飲みやすいタイプで、するっといけた印象でした。和歌山のお酒なので、紀州の食卓に合わせる一本としても気分が出ます。

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月の桂(京都・伏見)

「元祖にごり酒」として知られる、京都・伏見の増田德兵衞商店のにごり酒です。瓶内二次発酵による自然な泡と、にごり酒にしては甘さを抑えたドライな味わいが特徴とされています。にごりの濃厚さと発泡の爽やかさ、その両方を味わいたい人に評判の定番です。

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一ノ蔵 発泡清酒 すず音(宮城)

スパークリング日本酒の先駆けとして有名な一本です。アルコール度数が低めで、甘酸っぱく飲みやすい薄にごりのスパークリング。日本酒を飲み慣れていない人や、夏の乾杯用、ちょっとした手土産にも向くと評判です。発泡にごりがどんなものか、まず軽いタイプから試したい人の入り口にもなります。

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よくある質問

Q. 活性にごり酒は、開けると必ず噴きますか?
よく冷やして少しずつ開ければ、噴きこぼれはかなり防げます。逆に、常温に近い状態で一気に開けると噴き出しやすいので、飲む前にしっかり冷やしておくのが安心です。

Q. しろみきはどこで買えますか?
基本は冬(12月ごろ〜)の季節限定で、春鹿の蔵元や酒販店で扱われます。私のように、酒販店の在庫として季節外に見かけることもあります。通販は時期で在庫が変わるので、見つけたタイミングが買いどきです。

Q. 発泡にごりは料理に合わせやすいですか?
冷やしてシュワっと飲めるので、夏の食卓や揚げ物、塩気のあるおつまみと好相性です。甘み寄りのタイプは食前酒や乾杯にも向きます。


まとめ:にごりは“静と動”で選ぶと面白い

白川郷のような甘くとろりとしたにごりが「静のにごり」なら、しろみきのような発泡する活性にごりは「動のにごり」。同じ白く濁ったお酒でも、楽しみ方はまったく違います。

しろみきは冬の限定酒なので、季節外れに出会えたのはラッキーでした。もし時期を外して見かけたら、よく冷やして、少しずつ開けて、3段階の味の移ろいを楽しんでみてください。すぐに発泡にごりを試したいなら、紀土や月の桂のような通販でも手に入る一本から入るのもおすすめです。

奈良のお酒をもっと知りたい方は、奈良の地酒おすすめ5選奈良の夏酒おすすめ5選もあわせてどうぞ。春鹿の超辛口など、しろみきとは違う表情の奈良酒も紹介しています。

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